残り97%の脳の使い方(著:苫米地英人)
私達の脳は、無限の潜在能力を持っているにも関わらず、その多くを活用しきれていないといいます。本書には、人間の脳の仕組みと、脳を最大限使う方法をもとに、「他人を動かす技術」「どんな大きな目標でも達成する技術」が書かれています。どちらも、全く新しい技術とされています。ここでは、「どんな大きな目標でも達成する技術」にフォーカスしていきます。
脳は3%も使われていない?
脳の神経のうち3%しか使ってないということではなく、脳の潜在能力をほんの少ししか使っていない。脳に刺激を与え、神経の訓練をすることで、100倍、1000倍の能力アップも可能といいます。
それは、今まで知らなかった新しい知識や理論をを学ぶこと。「新しいこと」というのが重要で、既に知っていることでは刺激にならず、新たな学習にならない。一方、脳は知らないことは認識できないといいます。
つまり、単に新しい知識を得るだけではダメで、既に持っている知識を抽象化することで、その範疇にある新しい知識を認識可能なもの書きとして学習する。抽象度を高めて認識し、思考する。それで得られた知識を一般化、抽象化し、更に知識を増やす。本当の能力が開花する。
「3つのものさし」を捨てる
以下の3つのものさしを捨てることで、自己イメージを押し下げるオモリから開放する。これが能力アップの第1歩。
①周囲の他人
いわゆる、ドリームキラー。既存の社会の競争に勝つことがゴールだと教える人もこれに当たる。自分の可能性を否定する人もそう。
「自分は自分、他人と比べることはナンセンス」と認識する。そもそも他人の目に映る自分自体、自分自身が作った虚像。
②社会の価値観
既存の社会の競争に勝つという価値観が絶対である、と思い込まされている。競争社会では、全ての人が負けて不幸感に陥る。あらゆる基準で考えれば、全てで誰よりも上の人はいない。
③仮想の自分
「もし、自分が○○だったら、今頃は××だったのに…」のように、仮想の自分を現在の自分より優れていると考える限り、今の自分を過小評価して自己イメージしてしまう。人は自己イメージのレベルを超えることができないので、自分自身を過小評価している限り、人生が成功することはあり得ない。
人は重要な物しか見えない
1つの情報に集中してしまうと、他の情報が見えなくなってしまう。他の情報は排除されてしまう。
・・・じゃあ、いま時計は何時を示していた?
見えている物が全てだと思わない
見えているものが全てだと思った瞬間、見えないものがますます多く生まれる。見えていないだけで、目の前には貴重な情報がたくさんある。それを見えなくさせているのは、「これが重要だ」「あれが重要だ」という、過去に作られた信念、自己イメージ。そうなると、チャンスや問題解決の方法が見えなくなる。問題そのものに気付けない場合もあり、大変危険。
スコトーマ(心理的盲点)
自分が見ている世界はスコトーマだらけ、ボロボロ情報が抜け落ちている。
確かに光(情報)は目に直接入って来るが、その光は脳で電気信号に変換されている。今までの条件付けされたことや教えられたことがフィルターになり、見るものを決めつけてしまう。目から入って来る情報がそれにそぐわなければ排除されてしまい、見えなく(認識できなく)なってしまう。
人は自分が真実だと思うことをもとに行動するが、それがいつまでも真実とは限らない。つまり、「何が本当に欲しいのか知らない」ということ。「自分にはスコトーマがある」ということを念頭に置く。
コンフォートゾーン
スコトーマは、現状の中にいると見えないもの全て。この現状がコンフォートゾーン、自分の心地よい領域。慣れ親しんだところが安全、安心と脳は考える。
人はコンフォートゾーンでこそ力を発揮する
コンフォートゾーンにいる=リラックスした状態=パフォーマンスを発揮できる。つまり、脳と心は現状維持を望む。
ホメオスタシス
ホメオスタシスは、現状を維持しようとする強い機能。これによってコンフォートゾーンから抜け出せなくなっている。
エフィカシーを変えて、コンフォートゾーンに位置をずらす
エフィカシーとは、自分のゴールを達成する能力に対する自己評価。
例えば年収500万円の人が年収2000万円にしたいなら、まず「自分は年収2000万円を達成する能力がある」と強くリアルにメンタルイメージする。そうなると、年収2000万円がコンフォートゾーンになる。
スコトーマが外れる
年収2000万円の稼ぎ方が見えてくる。ここでもホメオスタシスが働くので、稼ぎ方が見えてくれば勝手に稼ぎ始める。
本当のゴールが見える
スコトーマに隠れていた本当のゴールが見えてくる。これだ!と思える本当のゴールが見えてくる。本当に欲しいものであればスコトーマが外れていき、やり方が見え、無意識が勝手にやってくれる。コンフォートゾーンの調整だけで、勝手にゴールは達成できる、努力はいらない。
セルフイメージが変わると人生も変わる
自分の持つリアルなイメージが人生を作る。イメージ力を使い物の見方を変えると、スコトーマによってブロックされていた情報が入って来る。目標が強くリアルにイメージされると、コンフォートゾーンがずれ、スコトーマが外れ、そこら中に転がっている必要な物が見えてくる。
エフィカシーを高める自己イメージコントロール
マイナスの目標設定は危険。欲しい物をイメージし、欲しくない物はイメージしない。
(これを書きながら思い出したことですが、私の父は、大きい車体のオフロード車を細い裏道でさえ猛スピードで走りこなす人で、「絶対に事故なんて起こさない自信がある」と言っていました・・・。)
目標を強くイメージするためのメンタルトレーニング
現状より高いエフィカシーを維持すると、心理的不安定な状態になる。これを解消するには、現状に戻るか、目標の世界に移動する。これは、より強くイメージしている方が選ばれるので、強くイメージすることは重要。ゴールに合わせたエフィカシーでコンフォートゾーンが、現状よりもリアルになれば、あとは無意識が勝手に実現してくれる。
1.これまでの経験で、非常に誇りに思っていることを5つ書く。これを、4週間毎日、1日2回読む。その時のイメージをもう1度体験することになる。毎日やると、どんどんエフィカシーが高まる。
2.大きな夢を1つ書く。1.を読んだ時の過去の成功の感情を、2.で書いた将来の目標にに向かって浴びせる。これを1日2回行う。
3.人生でうまくいかなかったことを5つ書く。それから、いかに上手に回復したか、どうやって克服したかを思い出す。自分は、困難を克服することができる人間というイメージを持てる。
創造的無意識
創造的無意識は、無意識にあるセルフイメージを、現実と一致させるように調整させる働き。エフィカシーを高め、無意識な中のセルフイメージを変えると、あとは創造的無意識の働きでより高いレベルの人生を歩むことができる。自分が目標を達成しているという、エフィカシーの高いイメージを持つ。そうすると潜在能力が発揮され、これまで解決できなかった問題も創造力が発揮されて解決できてしまう。こうすることで、これまで発揮できていなかった97%の潜在能力を発揮し、どんなに大きな夢でも実現できる。ゴールをしっかりと見つめていて、今やりたいことを楽しくやれているなら、確実にゴールを近づいている。
おわりに
本書を手に取られたあなたは
きわめて幸運です。
ここで語られる内容を知るのと、
知らないのでは、
人生が180度変わってくるからです。
これは、本書のカバーの裏側に書かれている言葉です。著者の苫米地さんも、「自分の書く内容に間違いはないし、これで確実に人生を変えられる」という自己評価のもと書き上げた本であるということが伝わってきます。まさに、エフィカシーの高さを体現するかのようなフレーズでした。
この本に書かれていることは、きわめて本質的で、重要なことと感じました。185ページという分量の少なさからは想像も付かないほど、圧倒的な情報量を得ることができました。しかも、私がこれまで読んだ心理学系の著者が書かれた本数冊の内容を、改めて「抽象度の高い思考で」理解することもできました。個人的には、科学者の書く本の方が論理的で理解のしやすい説明であると感じることが多いので、いくつかの本を通じた結果最終的に科学者の書いた本を読んで内容が理解できることが多いです。
本書では、人間の脳の仕組みと、脳を最大限使う方法をもとに、「他人を動かす技術」「どんな大きな目標でも達成する技術」が書かれています。前者の内容が気になる方や、後者の内容を更に具体的に読みたい方は、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。


