マインドセット 「やればできる」の研究(著:Carol S. Dweck)
マインドセットとは、心の在り方・信念を意味するもので、人の性格(パーソナリティ)の多くはこれによる産物だと言います。そして、マインドセットは人生のあらゆる部分まで浸透し、人が可能性を発揮できずにいるとしたら、その原因の多くはマインドセットにあると述べています。本書では、マインドセットには大きく2種類に分け、マインドセットを「しなやか」にすることで、能力や人間的資質は努力次第ではいくらでも伸ばせると説明しています。
2種類のマインドセット
・自分の能力は生まれつき決まっているという信念=硬直マインドセット(fixed)
・自分の能力や人間的資質は努力次第ではいくらでも伸ばせるという信念=しなやかマインドセット(growth)
この信念次第で、今後の人生さえ大きく左右する。この2つ自分の意思ではどちらか選ぶ事ができる。
ここで、しなやか=growthという訳の対応がとても秀逸に思えました。
マインドセットの特徴が顕著に現れる時は、散々な目にあった時や、なにかにつまづいた時あそうです。うまく行かない時に、不貞腐れたり落ちこだりせず、こういうときこそ粘り強い頑張りを見せるのがしなやかマインドセットの特徴だと言います。
自分に二の矢を刺して痛みを連鎖させないこと、思考停止状態である悩んだ状態に陥らないこと、とも関連がありそうです。
しなやかマインドセットの特徴
・才能は伸ばせると信じれば、潜在能力が最大限発揮される
・うまく行かない時にこそ好奇心旺盛になり、粘り強い頑張りを見せる
・自分を向上させることに関心を向け、他者からの評価を気にしない、他者へ自分の賢さを誇示しない
・合否などの結果でなく、その過程での自己成長を重要視する、力を注いだことに意義がある
・新しいことを学べたり、これまでできなかったことができるようになれば「成功」「自分を賢いと思う」(逆にマインドセットが硬直していると、つまづいたら即失敗)
・能力は伸ばせると信じるなら、努力こそ最重要、努力の限りを尽くし可能性の限界に挑む
・何かに全力で取り組んでいる時に意気揚々、誰でもできることほどつまらない
・1回のテストの点数だけで人の価値は決まらない
・「努力」しないと才能を活かせない、どんな才能のある人でも努力すべき、「やればできたのに…」と言い訳するくらいなら、やれ。
・感情に動かされず、「どうするのが一番賢明だろうか?」と考える
・自分の問題と真剣に向き合って、成長できるよう努力する。
・苦手な場面に対しても尻込みせず、前向きにチャレンジする
・物事に不満を持たず、現実を受け入れてそこから努力、成長していく
・毎日が成長のチャンス、ひたすら学び続けたいと思っている
極端な話、自分の成長にとって良いと思えることを実行してさえいれば、承認欲求さえ否定しても良いというように思えます。
「失敗」しても「失敗者」になるな
失敗をしても、自分に失敗者の烙印を押さない。もちろん他人にも。失敗したという出来事1つをアイデンティティに繋げない。失敗を逆手に取って自分を鍛える、それに立ち向かい取り組み教訓を得る。失敗を何かのせいにせず、そこから教訓を得て成長して行ければ失敗者ではない。
勝手に失敗者の烙印を押し、自己否定に陥ると抑鬱にもなる(メンタルの話やメタ無意識の話?)。気が滅入る時こそ、気を強くして奮起し、問題に取り組む行動に起こせ。
何かうまく行かない時に、自己嫌悪に陥りそうになることは私自身よくありあす。しかし、そういう時こそ「全部自責思考」で考え、その責任を取るために行動を起こせということですね。それがメンタル=自己評価を保つため重要だと思えます。
マインドセットをしなやかにするには?
・困難や気の落ち込みへ立ち向かって、学びを得る姿勢を持つ
・自分に対する反対意見や建設的な批判を受け入れる、自分を完璧と思わせるだけの人と関わらない
・全ての体験から学び、成長に繋げる
・やればできる、と思うなら実行に移す
手酷い失敗ほど、ラッキー大喜利!
人間関係のマインドセット
相性の良し悪しでなく、お互い高め合って成長し、何かあってもより良い関係性に軌道修正していく努力が必要。
相手を全て受け入れるまで行かなくても、どんな人間関係でも他人は他人、理解して歩み寄る努力も。人そのものの問題でなく、コミュニケーションや関係性の問題のこともある。
他人にどう思われるか、に捉われず、自分がどうしたいか?を変えて前進することもできる。どんなに酷い関係性でも、お互い成長していけるチャンスでもある。
関係性を良くするため、相手のせいにしたり相手を変えようとせず、自分を変えていく方が簡単ですからね。他人の課題に深く立ち入らず、相手を畏れ過ぎずに行動するのが良いように思えます。
「品定め」の世界から「成長を促す」世界へ
自分の脳は自分で作っていくもの。
自分から品定めしに行かず、品定めされてもそれを糧に自分の仕事に集中する。
自分の中に作り上げられる自己(物語)こそが硬直マインドセットを作り上げている。(無我の話も関係ありそう)
自分や周りの成長を促すような行動を取れれば、周りも自分に協力してもらえるようになる(その人の看板に反応する話?)
マインドセットをしなやかにすると、人間関係が「評価する者・される者」から、「成長する人・成長を助ける人」へ変わる。
例えば、自分の上司は、自分を評価する立場ではあるはずです。しかし、以前上司と面談している時、上司は「皆さんから学ばせて貰っていることもあるんですよ」と話していました。「評価する者・される者」という立場は変えられなくても、「成長する人・成長を助ける人」や、「お互い成長する人」という関係性にすることはできるようです。
おわりに
私自身、自分は自尊心が低く、常に自分に自身がない人間だと思っています。こういう考えが強いと、何か失敗した時に思考停止状態に陥りやすく、そこから成長につなげていけないのかもしれません。「しなやかマインドセット」を少しでも身につければ、少なからず失敗は自分の成長に繋げていけるものだと認識できるようになるため、どんな出来事からも意味を見出すことができるようになるように思えました。